11月4日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・日韓関係に関して適切な解説がなされていたか
まずは放送内容から見ていきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):ASEAN東南アジア諸国の首脳会議でバンコクを訪れています安倍総理と韓国の文在寅大統領が今日、およそ10分間このような形で言葉を交わしたんですね。両首脳がこうやって話すのはおよそ1年ぶりのことなんです。
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【VTR】
安倍晋三総理大臣『日本はASEANの中世性と一体性を重視しASEAN共同体の強化に向け幅広い分野で協力していきます』
ナレーション(以下ナレ):今日のASEANプラス3首脳会議にはASEAN各国に加え日中韓の首脳が出席していました。日韓の接触はこの会議直前の控え室での出来事でした。
韓国大統領府『文在寅大統領から座って話し合おうとすすめた。きょうの歓談は誰も予想できなかった瞬間だ』
ナレ:安倍総理は元徴用工訴訟問題などをめぐる日本の原則的な立場を伝え一方で文大統領は必要に応じ、高官級の協議も提案したとしています。およそ10分間1対1のやり取りでした。ただ、日韓ともに言葉を交わした、歓談としていてあくまでも、首脳会談ではないという位置づけです。両首脳の接触は昨夜から始まっていました。記念撮影の場で笑顔で握手したのです。ただ、このときも首脳会談どころか短時間の対話さえ予定されていませんでした。
日本政府高官『首脳会談をするような雰囲気は全くない。先方から話しかけてきたら礼儀上応じる程度だ』
ナレ:日本側のスタンスが変わらない中で強硬姿勢だった文大統領が自ら話しかけ、対話に動いたのはなぜでしょうか。
高橋政光ソウル支局長『GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の終了がせまり、アメリカは韓国に破棄を撤回するよう圧力を強めています。北朝鮮対応もあり日韓の関係改善も求めています。また日本の輸出規制の影響拡大への懸念もあり日本と対応する必要が出てきました』
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【コメンテーターによる解説】
徳永有美アナウンサー:昨日、安倍総理が握手する様子を見てこれまでとちょっと流れが違うのかなと思ったんですが今日は文大統領が話しかけておよそ10分間の対話につながったということですがこれはどういうふうに見たらいいでしょうか?
後藤謙次氏:報道は接触だとか歓談だとか言っていますけどやはり、座って通訳がついたという意味では首脳会談といっていいと思うんですよね。今回については日本政府はある程度想定していたんですね。政権幹部の1人も今回についてはたぶん、韓国側がなんらかの仕掛けがあるかもしれない。その場合は、逃げ回るような大人げない対応はしないとその段階できちっと受けようじゃないかと。そういう準備はしていたわけですね。それは大きな文脈でいうと日米韓いうこのアメリカがとにかく日韓関係をなんとかしようと双方に圧力をかけていてGSOMIAの期限が11月23日に迫っている中でやはりここで1つ会っておいて12月の日中韓の首脳会合につなげていくワンステップ入れる意味が双方にあった。ただ、安倍総理としては徴用工問題が解決しないかぎり日本川から譲歩しませんよという位置だけはきちんと確保したと。あとは韓国側にボールがあるからそちら側から答えを持ってきなさいということは変わらない。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。
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後藤謙次氏:報道は接触だとか歓談だとか言っていますけどやはり、座って通訳がついたという意味では首脳会談といっていいと思うんですよね。今回については日本政府はある程度想定していたんですね。政権幹部の1人も今回についてはたぶん、韓国側がなんらかの仕掛けがあるかもしれない。その場合は、逃げ回るような大人げない対応はしないとその段階できちっと受けようじゃないかと。そういう準備はしていたわけですね。それは大きな文脈でいうと日米韓いうこのアメリカがとにかく日韓関係をなんとかしようと双方に圧力をかけていてGSOMIAの期限が11月23日に迫っている中でやはりここで1つ会っておいて12月の日中韓の首脳会合につなげていくワンステップ入れる意味が双方にあった。ただ、安倍総理としては徴用工問題が解決しないかぎり日本川から譲歩しませんよという位置だけはきちんと確保したと。あとは韓国側にボールがあるからそちら側から答えを持ってきなさいということは変わらない。
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この発言の問題点は以下の2点です。
・視聴者に誤った印象を与える発言があった可能性がある
・様々な論点をとりあげた放送ではなかった可能性がある
以上2点についてまとめて見ていきます。
後藤氏は韓国側から日本へ何かしらの働きかけがあったときは「逃げ回るような大人げない対応はしない」できちっと向き合う準備をしていた、と解説しています。
この「逃げ回る」という表現についてですが、政権幹部がこのように述べたという文脈で解説されています。
しかし、この表現では日韓関係の悪化に関して日本側に非があるというような印象を与えかねません。
そこで日韓関係悪化の論点を述べたうえで解説を行う必要がありますが、その論点についても十分触れられていませんでした。
ここで日韓関係の悪化の経緯と論点について簡単に見ていきます。
日韓関係の悪化は、韓国側が日韓請求権協定という国同士の約束事を守らないことに非があります。
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日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。
韓国大法院判決が,日本企業に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。これらの判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し一層不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。
《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
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この協定の解釈に違いがあって、日韓関係は悪化したのです。
しかし同協定では解釈の違いがあったときは、仲裁に立ち合わなければならないと、定められています。
韓国側はこれにも応じないため、日韓関係は悪化しているのです。
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韓国大法院判決の執行のための原告による日本企業の財産差押手続が進む中,何らの行動もとらなかったことから,5月20日に韓国政府に対し,日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を通告し,仲裁の手続を進めてきました。しかしながら,韓国政府が仲裁委員を任命する義務に加えて,締約国に代わって仲裁委員を指名する第三国を選定する義務についても,同協定に規定された期間内に履行せず,日韓請求権協定第3条の手続に従いませんでした。
《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
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このような論点を明示しない放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。